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床屋の成長の小話

パンチパーマ、って、あるよなあ


アレは今、プロの方こそ、滅多にやらない髪型です


パンチパーマッッツ!!!!
っつうようなパンチパーマ

 

つまり、2センチ以下の長さの髪の毛を
グリグリにクルクルさせるような

 

パンチパーマァァァアッッッッッツ!!!!!!!!!!
つうようなパンチパーマは、悪目立ちしますしねえ


すると、どんな方がやるのか?

 

以前勤めてた店は、今でこそ違いますが

競馬、競艇、競輪大好き!!
みたいなオヂサンが多くウロつく町で
いかついイメージの自分が好き!
なヒトも多かったのです


例えば予約の電話をされる時
『俺だけど、店長、何時に空いてる?』

すみません
カットか、パーマやカラーなのかわかんねーと、予定もクソもたたねーから
つかお前誰だよ?
と、ソフトにお聞きすると

『あ?お前じゃ話にならねー!店長を出せ店長!!!』



極端には、こういうキャラね
話にならねーのはお前だからな?
極端な個人を思い返しての話ですが、実話です
こういうキャラは、逆にマトモなプロの方にこそ居ないんだわ
ハゲちまえ!あのクサレハゲ!!



さて、コレを相手に、まだ熟練度の低い技術者が施術をできるでしょうか?


答え、無理です
『まだそんなトコ巻いてんのかノロマが!!』
とか始まりますから
これも実話な


さて
こんな調子ではパンチパーマの技術、どうやって継承するのでしょうか?


答え、されません
こんな面倒なクソジジイに、好き好んで関わりたいヤツなど、おりません
なので、継承はしない
『ウチではパンチパーマ、やらないよ』
これで終わりです


今、床屋でもパンチパーマを施術できる店は、増加などしていないでしょう

ネットで可能な店を探すとなると、さらに大変です
パンチパーマ習得済みの床屋は、ネット宣伝に疎いジジーばかりですから


しかし
こういう、お客さんの気持ちはわかります
同じ料金なら、より良いサービスを受けたいと思うのは当たり前


パンチパーマに限らず、カットでも同じです
では
未熟な技術者は、どうやって熟練者に進化すればよいのでしょう?


人形?
バカをいえ
あんなモン、おもちゃである

カットモデルや、友達で?
そいつは実戦じゃあないね
緊張感が違う


誰も頼れず失敗できねー、緊張を伴う実戦の場数
成長し、実力を鍛えるには、コレが必須


同じ料金で、未熟者の成長に付き合う義理はない
とされる意見は、当然あるでしょう

そいつを底意地の悪い言い方に変換すると
『ババは、誰かに引かせればいい。自分で引くのは嫌だ』
と、なりますかね?


わかっていますとも
世の中、んーなケツの穴のちいせえヤツばかりじゃあないです
優しい誰かに支えられて、誰かは成長する


こいつはなにも、床屋だけじゃあありませんよね?

多くのヒトは、未熟者であった頃、優しい誰かに支えていただいた

自分でわかっていたか、いなかったか
先輩か、顧客か
カタチは違うかもしれませんが

ケツの穴の小さい人間では、ありたくないものです
そうは思いませんか?

別に思わなくても構わんけどな
わしゃもう初心者じゃねーからよー

はい、なんとビックリ
ここまでが前フリな



初心者の床屋を指名してくるお客さんっつうのが居る
これは、上に書いた話とは別の話

悪意の話でも、まして善意の話でもない
そして、どこか抜けた
マヌケな話


悩み、迷い、考えながら模索しながらカットをしている頃

現象としては
熟練者なら一手でできる事が
未熟者では三手も必要になる
事が多いです

こいつが積み重なれば、同じお客さんの

 

カットを20分で終われる熟練者

カットに40分かかる未熟者
という差が生まれます


さあ、おもしれーのはココから

20分で終わる熟練者は手抜き
40分かける未熟者は丁寧

という受け取りかたをするお客さんが居るのですなー


そんで丁寧だから、と、ザコを指名してくださる

この種類のお客さんは、ザコの頃、自信をくださる貴重なお客さんです

ただし
ザコが当初、三手かかった事も
熟練度が上がるにつれ、二手、一手と減っていきます
つまり、上手になると、そのお客さんの調子から外れてしまう

そのうち、そのお客さんは居なくなるわけですな

いつまでも、その調子のお客さんがついてるような床屋は
つまり、ザコのままでいるヤツです

(・´ω`・)んーでさ?
かつて、いつまでたってもザコのままだった後輩が居まして

そいつが店を辞める時
残していったお客さんの中に、上に書いたような方がおりまして

たまったま、再来店時に私が当たったのですが

その最初に
『僕はね、1時間を切って仕上げられると、手抜きされた気分になるんだよ』

 と、おっしゃったそうな

 

 

待ってください

なんですか?

もしかして
アタシを白眼にしたくて来店されたのですか?

 


確かにあのザコ、カットコース4000円で80分くらいかけて相手してたけど
(´゜ω゜`)んなもん付き合ってられるかー!!!!

(・´ω`・)と、言いたいトコですが
『さすがにあんなには時間かけてらんねーけど、善処しますわ』

 

というワケで
一手で片付く事を、ダラダラ三手かけて付き合うハメになったわけさ


つまり
『手抜きされたくない!』
つうお客さんを
(・´ω`・)全力で手抜きこいて相手しなきゃならんっつう
実にあほらしい状況になりましたとさ

しかもそのあと指名くらうしよ

本意とかけ離れた仕事で、指名されてもなあ?

 

な?

マヌケな話だろ?